【Financial Times 報道】スリランカ、経済崩壊で通貨が世界最悪水準に急落 〜 2022年4月6日

・4月6日(水)、スリランカルピーは1米ドル=300ルピー近辺で推移。ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領が緊急事態宣言を発令したわずか数日で32%下落し、ロシアルーブルにさえ遅れをとっている。
 悪化する経済政治危機に苦しむなか、ルピーは過去最低水準に急落、世界で最も弱い通貨となっている。

・スリランカは、迫る債務支払い、広い抗議デモ行動、経済緊急事態に対処するなか、外貨危機に直面。サブリー新財務大臣が就任から24時間経たずに辞職し、ラージャパクサ政権は緊急事態宣言を撤回した。
・深刻な食料と電力の不足、暴走するインフレへの全国的な抗議デモを受け、先週末に閣僚全員が辞職した。
ラージャパクサ政権の空洞化は、国際ソブリン債のデフォルト回避に国際通貨基金(IMF) の支援を得られるのか、懸念をかき立てる。大統領の弟バシル・ラージャパクサ前財務大臣は辞任前、IMFとの条件交渉のためにワシントンへ飛ぶ準備を進めていた。

・格付け機関 Moody’s Investors Service のチーフエコノミストは、
「状況は芳しくなく、安定した政府が重要だ。金利引上げはインフレ抑制に働き、ルピー高に向ける可能性がある。
 しかし、ロシアのウクライナ侵攻による商品価格高騰、サプライチェーンの制約、輸入品の支払いに必要な外貨不足などのインフレ要因は、中央銀行にはコントロールできない」と述べる。

投資家は、スリランカが国債のデフォルトの瀬戸際にあると警告する。
市場は7月25日に予定されている10億米ドルの国際ソブリン債の返済に注目している。現在、この債券は額面を大きく下回り、過去最低の0.58米ドルで取引されている。支払いに必要な米ドル調達に疑念が高まっているため。
・大統領の弟は財務大臣として大幅な減税を行った。その結果、世界の格付け機関から何度も国債格付けを下げられ、国際市場にアクセスできなくなった。このためにスリランカは、コロナ危機が圧迫して減少した外貨準備高を使った国債の利払いを余儀なくされた。主要な外貨収入源の一つの観光業は大きな打撃を受けている。

・2月下旬、IMFはスリランカの外貨準備高は輸入額の1か月分程度しかないと試算。
・エコノミストは、
「政府の混乱により、IMFの支援パッケージを確保する見込みは薄い。最終的にデフォルトせざるを得なくなる可能性を高めている」と述べる。

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