【IT社長寄稿】スリランカの次のステップ 〜 それでどうする?

IT・ソフトウエア開発大手 WSO2 社の創業者、サンジーヴァ・ウィーラワラナ氏が、自身のサイトで

「スリランカ、それでどうする?」

と進むべき道への意見を投稿しています。

同氏は、大統領から情報通信技術庁(ICTA)理事に任命されましたが、政府の運営方法などに異議を唱えて辞任。
【参考】2020年6月1日のニュース

現在の混乱のなか、停電や SNS 遮断では Twitter 上でナマル・ラージャパクサ大臣に噛み付くなど、意見を率直に述べています。
【参考】2022年3月31日のニュース

「政権交代を言うのは簡単だが、“それでどうる?”
「政治プロセスと国の再建は憲法に沿って進めなければいけない」

等々の主張は一読に値する意見だと思いました。ご紹介。

・これを書いている4月3日(日)午後1時、国民主導で政府に対する大規模抗議デモが行われている。SNSは遮断され、4日(月)朝まで外出禁止令を敷かれている。
国民は変化を求めている。現状のシステムにうんざりしている。
 では、我々が求めるべき変化とは何だろうか?私は自分の美しい国に無政府状態や無法状態を見たくない。
・良い知らせは、この抗議デモは、何の変化もなく終わるにはもう遅すぎること。大統領はまだ理解していないようだが(だから外出禁止令やSNS遮断を行う)、この船は出航したのだ。外出禁止令を出しても現政権は救われない。

・抗議デモのスローガンは “#GoHomeGota”。
 政権交代運動だ。言うのは簡単で響きはいいが、批判的な質問をしなければならない。
「それでどうなる?」

・憲法によれば、大統領が辞任すれば首相が後を継ぐ。
 現在の首相は、大統領の兄、マヒンダ元大統領。彼は大統領を2期務めており、大統領となることはできない。この場合、アベイワルダナ国会議長が(SLPP)が大統領となるが、彼に国をまとめる能力があるか疑問。憲法上の危機をもたらす。
だから “GoHomeGota” “GoHomeRajapaksas” と言うだけでは不十分。統治システムに従って国民の懸念に対処しなければならない。

・抗議デモは、わずか数週間でルピーが対米ドルで 50〜100%以上下落した経済危機から始まった。政治危機下では経済回復プロセスは開始できず、奈落の底に突き落とされることになる。

・現時点で私が考える唯一の方法は以下。

① 大統領が現政権を解任する。

② 国会から誰かを招いて(=首相)、新政権を樹立する。
 その人物として論理的なのは、野党党首のプレマダーサが政府のトップ(=首相)になることだが、国民の怒りは現政権だけでなく、すべての政治家に向けられている。そのため明確な答えはないが、憲法に従って国家をリードできる人物を国会から探す必要がある。

新政権は国民政府であるべき。
 経済危機からの脱却には非常に厳しい決断を迫られる。どの政党も次の選挙で不利になるような決断を望まないためだ。

④ 大統領はいかなる省庁や政府組織も傘下に置かない。
 これは現憲法(20A)で大統領が持つ巨大な権力と真逆のもの。大統領は秩序ある移行を見届けるための事実上の大統領となる。

⑤ 国会は直ちに20Aを削除して19Aを復活させる。
 これにより大統領の権限は弱まり、国会の権限が強まる。

⑥ 国会は直ちにカブラール中央銀行総裁を弾劾する。
 司法長官に対して、彼や金融委員会、中央銀行高官の通貨騒動で果たした役割を調査し、法律違反の有無を確認するよう要請する。

⑦ 新政権は、(残念ながら、過去数十年間に経済の悪夢に導いた政治家で構成されるだろうが、)世界レベルの信頼できる経済チームを任命する。財務大臣、財務長官、中央銀行総裁、金融委員会の役割を果たす人々となる。我々には優秀な人材がいる。国民リスト枠(*比例代表)を使って彼らを国会に招き入れるのだ。

⑧ 国会は、次回大統領選挙が行われる2024年の前に、大統領制廃止を問う国民投票を実施する。金銭的にも政策の混乱でも、今選挙をする余裕はない。

⑨ 大統領は、任期を果たすか、辞任するか選ぶ。
 辞任を選ぶなら、新政府樹立後の辞任が重要で、そうすれば、必要な真の仕事(経済立直し)を遅らせることになる権力闘争を避けることができる。この場合、この首相がスムーズに大統領となる。

⑩ 国会も同じ理由で任期満了まで継続する。

⑪ 国民が大統領職の存在を望む場合、2024年に大統領選挙を行う。

⑫ 2025年に国会議員選挙を行う。

・この順序で新政権以降への秩序ある移行を実現できる。

・政治家の狂った汚職をどう追及して責任を取らせるかは決定的に重要だが、別の問題である。我々は現在の指導者にも国会の政治家にもこれを追及する必要がある。最初に政治家に説明責任を果たさせなければならない。彼らは長く、国から盗んできた。
国民の怒りは現政権に限っていない。現政権は経済と国家の運営を大きく誤ったが、この美しい国の未来を台無しにしたのは彼らだけではない。
 現在の政党はすべて、我々が陥っている混乱の一端を担っている。ラージャパクサを排除して「問題解決」だと言って、彼らを野放しにする時ではない。我々国民がそうすれば、新たな政党は同様に略奪と盗みを働くだろう。
しかしそれは民主的なプロセスであり、従わなければならない。我々は団結して、より良い候補者を集め、国民の投票により良い選択肢を与える必要がある。凶悪犯、愚か者、強盗、馬鹿者に投票し続けても、異なる結果を期待することはできないのだ!

・これができなかったら、最悪の場合どうなるのか?
 ぞっとするが、憲法に従って方法を見つけなければならない理由はここにある。
もし大統領が居直って軍隊による暴力的行動をとれば、人々の怒りは無限に広がるだろう。その結果、軍の分裂が起こる。(彼らも人間であり、彼らの家族も同様にプレッシャーにさらされている。)
 そうなると無政府状態になり、内戦に発展する可能性がある。他国では事例がある。自国の有利になるよう、歓迎されない支援をする国がある。

・もし大統領が上記の進むべき道を示さずに先に「去る」と、政治家が自分に有利になるよう行動する大きな権力闘争が始まる。我々に今、そんな余裕はない。
・部屋の中の本当の象、大問題は経済である。政治の大きな問題が今の経済の地獄につながったのは明らかだが、経済を立て直すという緊急の仕事に取りかかる必要がある。通貨がこのままフリーフォールを続ければ、回復ははるかに難しくなる。
・秩序ある経済運営が必要であり、それを実現する唯一の方法は、限界や問題があろうとも現行制度のもとでうまく運営される政府である。
・大統領、ボールはあなたにある。

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