ニュースで知るスリランカ 〜 2020年5月30日

アーユーボワン!

ペターのレッドモスクですね。75年前と今。

スリランカのコロナ関連ニュース

今朝の時点で、スリランカ国内の感染者 1,558人(前日比28人増)、死者 10人(増減なし)。

ヌワラエリヤ県は、昨日 5月29日(金)夜から 31日(日)夜まで外出禁止を発令。
26日(火)に亡くなった セイロン労働者会議(CWC)トップ・トンダマン前国会議員の支持者数万人が追悼に押し寄せたため。 

航空行政を担当する ラナトゥンガ大臣は、コロンボ・バンダラナイケ国際空港にPCR検査室を設置すると発表。全到着者にPCRテストを実施するため。
また、スリランカ人国外駐在者には 7月末までに、外国人旅行者には8月初めに、空港をオープンするとも述べた。

マスク着用なし、ソーシャルディスタンス確保なし、で 912人を逮捕。

スリランカのビジネスニュース

2020年 5月の 12か月間インフレ率は前月の 5.2% から 4.0% に低下。一方、コロンボ消費者物価指数は 0.4% 上昇。食料品物価指数が 1.4% の上昇。

今日は寄稿シリーズ。記事が長いんだ。。。

40年以上の経験を持つ開発エコノミストによる、コロナ危機後の経済復興への寄稿。
具体的な経済対策というよりは考え方、の提言。

・歴代政府は、国内総生産(GDP)の増加に焦点を当てた欧米型の開発モデルを志向。
 しかし、このモデルは非先進国の資源や人々の搾取による経済発展であり、何百万人もの人々が貧困のままであり、ベーシック・ヒューマン・ニーズを失っている。
・GDPという狭いスコープから、広範な開発目標に移行するべき。持続可能で生産的な雇用を創出し、大衆の生活の質と幸福度の向上を可能にする成長が必要。
経済発展は経済の構造的変革を伴うものであり、ほかで達成されたことの複製ではない。
 この中で、スリランカ「土着の」プロセスによる経済復興戦略を策定するとの政府の決定は賞賛に値する。

農村の貧困層の家計、特にマイクロクレジットの現状に関する寄稿。

・賃金の低迷とマイクロファイナンスの主流化により、借金は貧困層の生活に不可欠な現状。コロナ危機により生活の糧を失い、またしても借金に頼らざるを得なくなった。
・2019年の中央銀行年次レポートによれば、数の上ではスリランカは小規模農家経済。
 一方、所得では上位 20%が総所得の 50%以上を占め、貧困層40%は15%前後。
・最貧層の40%のうち、4割が地方在住、うち 64.6%はプランテーション労働者。
 地方在住者の 61%、プランテーション労働者では73%の世帯が借金を抱え、マイクロファイナンスの借り手は240万人。女性の借り手が多いこともわかっている。
・マイクロファイナンス・ローンの多くは、公的な金利上限である35%を超えている。

・経済回復のためには彼らの債務を帳消しすべき。経済を牽引すべき小規模農家、漁師、プランテーション労働者、中小企業などへの多大な債務負担は、経済回復を阻害。
・協同組合の活用は、貧困削減、地産地消推進、農産物流通のほか、地域経済の底上げに主体的な役割を果たせる。協同組合所有の精米所や米貯蔵所での成功例。

利息 35% 超って。。。
スリランカでは、投資話としてマイクロクレジット案件を紹介されたり、ノンバンクが「マイクロクレジット」の看板をあげてたりして、「意外とみんな返済するよ」なんて話をされたこともありますが、この記事によると貧困層が自立する仕組みとは遠いのかもしれません。
バングラデシュの グラミンバンク で有名になりましたが、私が国際協力の現場にいた15年くらい前は、「あんまり成功してる案件ないんだよね」と専門家と話していました。
とはいえ、一つ前の記事にあったように、国際協力・援助の案件は「ほかで成功したものをコピーすれば良い」というものではない、というのが私の得た教訓。きっとビジネスも同じなんだろうな、と。

そんなスリランカ農村部での農業に可能性がある、との寄稿。

・スリランカがコロナ危機から復活するにあたり、農業に大きな可能性。
 南アジア “AgTech” のハブとして、南アジアの一次産業や食品セクターへのアクセスに関心を持つ世界中の人々を惹きつける可能性がある。

・”AgTech” =「農業や食品生産の分野における技術」の応用により、新農法の開発、まったく新しい製品の開発に加え、持続可能な天然資源管理にも影響を与える必要がある。
・スリランカは、持続可能な開発目標の多くで南アジアにおける傑出したリーダーであるほか、世界的サービスを提供するICTセクターが成長。
国土の43%を農地が占め、気候帯も多様であり、新製品やサービスの実験の場を容易に提供可能。
・ハブとなるためには、人材、ICTやユーティリティなどインフラ、政策、インセンティブ、資本などのエコシステムの整備は必要。

最後の「必要なエコシステム」が肝心だろ、、、とは思いますが、、、
「南アジアならスリランカ」というのは、金融・物流のハブの議論でも言われます。地政学上も近隣国との関係も人材も、ということ。
コロナ危機で大きなダメージを受けていますが、巨大市場のインド・パキスタン・バングラデシュが復活するとき、スリランカは必ず役割と可能性がある。がんばろうっと。

農業がらみ?で、お次は食料問題。

スリランカは 2019年に上位中所得国となったが、栄養欠乏、低体重、過体重の三重苦。
2030年までにスリランカの人口は指数関数的に増加すると予想され、食料と栄養の需要も同じく増加。

背景にジェンダーギャップも絡み、女性の健康問題にも深く影響。

「低体重と過体重」の両方。。。コメの量、塩味、と栄養バランスは悪いよね。

外出禁止令 2日後から、LearnWare Academy は5歳から16歳までの子どもたちを対象にオンライン・プログラム教室を提供。

スリランカのポリティカルニュース

統一国民党 (UNP) 党首の ウィクラマシンハ前首相は、国会議員選挙後、与党 SLPP との政権には加わらないと発言。3分の2以上の議席獲得を目指す。

スリランカの現在の政治体制について、大統領を頂点に軍部・ラージャパクサ兄弟などの「権力カルテル」に支配されており、協議や妥協ではなく、命令と強制により統治されているとの批判投稿。
経済の立て直しは、グローバルな経済危機であることから国内経済回復に頼らざるを得ず、政権には困難な課題。

筆者は国外(オーストラリア)在住のよう。

「強権」と「リーダーシップ」の線引き・判断は難しいですよね。どんな国でも賛否あり。
「正しい方向」であれば、強力に引っ張っていって欲しいし、今のような困難時にはなおさらですが、この「正しい方向」が難しい。歴史しか証明しえない。

人生にはムダも必要、な情報(今日のムダ)

衝撃画像。

ストゥティ! (ありがとう!)

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