経済ニュースで知るスリランカ 〜 2022年2月9日

アーユーボワン!

スリランカは自国経済保護のために為替をムリに固定していますが、
こう↓なのではないかなぁ、と思って読みました。

スリランカのコロナ関連ニュース

今朝時点、スリランカ国内の
感染者621,985人(前日比 1,253人増)
死者:15,656人(前日比 35人増)

死者数増加。1日あたりで昨年10月中旬以来の水準に。

Kida
Kida

死者が少ない、重症化しない、
が心の支え?だったのですが、イヤな数字。
感染した人の話はちょいちょい聞くので、
検査していないだけで実際はだいぶ多いのではないかと。

スリランカのビジネスニュース

2月8日(火)、インドを訪問中のペイリス外務大臣は、ジャイシャンカル・インド外務大臣らと会談。
両国関係が戦略的パートナーシップへと発展したと述べ、
経済協力、再エネを中心とした電力・エネルギー協力、コネクティビティ、観光などを議論。

政府が決定した2020年度課税所得への遡及課税について、
野党 SJB は、国民の年金や退職金を扱う年金保険積立機関(EPF/ETF)も対象に入っており、
政府が労働者の貯蓄を盗むようなもので恥ずべきだと反発。
政府は最終決定はしていないと述べる。

・2月1日(火)、政府は、2020年度の課税所得が20億ルピー(約10億円)を超える個人や企業に対し、25%を遡及して課税する法案を閣議決定。
【参考】2022年2月2日のニュース

・3兆ルピー(約1.5兆円)以上の資産を持つ EPF は、2020年に2,500億ルピー(約1,250億円)の利益を上げている。
【参考】2022年1月18日のニュース

コングロマリット LOLC Holdings PLC は、
ケニア政府当局から、ケニアのマイクロファイナンス企業 Key Microfinance Bank PLC の買収への許可を取得。
同社の株式73.29%を約4.2億ルピー(約2.1億円)で買収予定。

シンクタンク Advocata Institute が計測する
「ライス&カレー」で使う食材価格指数 Bath Curry Index によると、
2022年1月の食料品価格は前月比では 4%下落、前年同月比では 16%の上昇に。
前月比では主に、トマト、ナス、唐辛子の価格が下落した。

シンクタンク Verite Research のエコノミスト、ニシャン・デ・メル博士のインタビュー。
同博士は、オックスフォード大学やハーバード大学で研究、教鞭をとってきた。

【政策決定時の分析の不足】
・私は、政府が2019年末に導入した法人税減税を含む税制改革とその背景分析の欠如を批判してきた。
 税額と課税方法を変更し、課税対象者を大幅に減らした。個人所得税では40%、付加価値税(VAT)では70%が減少。
 その1年後に政府は、課税ベースを増やすことを期待してタックスアムネスティを発表。つまり、想定される結果の分析が不十分で、政府は25%の歳入減を招いた。
財政赤字である以上、政府歳入の損失は将来の課税につながるだけ。分析の欠如が問題で、それが今、国に大きな悪影響を与えている。我々は、重大な経済政策の変更を結果の分析なしに行うべきでないと主張している。
 増税が良い結果を生むこともあれば、減税が良い結果を生むこともある。「最適な課税水準」は信念ではなく分析。スリランカは多くの先進国と比べ、法人税率がすでに低くなっていた。スリランカの課税が明らかに高過ぎたわけではなく、減税が成功するか分析はしておくべきだった。

この減税が及ぼした影響として2018年と20年を比較すると、減税後の地方投資はGDP比で4%、5,000億ルピー(約2,500億円)減少している。
 同様に外国直接投資(FDI)もGDP比4%から1%に減少。外国投資家も経済の持続可能性を判断している。減税が政府歳入を25%減らして経済が持続不可能だと見なされれば、投資家にはマイナスの影響を与える可能性がある。
・健全な企業やビジネスには、減税以外の経済の側面も重要。
 減税で政府の資金が不足し、通貨供給を拡大して資金を調達すると、インフレを引き起こし、減税の効果よりもインフレ影響が悪くなる可能性がある。格下げで国際金融市場から締め出され、政府が債務返済支払いに苦労していれば、民間企業にとっては税率を維持して格下げを回避した場合よりもはるかに不利になる。そのため政府が持続可能で安定した財政金融政策を実行するならば、民間企業が高税率を受け入れると公言しても、驚くことではない。

【コロナ危機中の経済危機】
・世界全体の危機的状況はスリランカに重大な影響を及ぼす。人の移動や物流が妨げられ、コストが高騰した。
 一方でアジアの多くの国が、中国以外との貿易増加に成功。南アジア地域ではほとんどの国が外貨準備高を増やしている。なぜスリランカはコロナ禍で南アジア地域他国のように成功できなかったのか、疑問を持たねばならない。
2015〜19年、スリランカの債務残高は42.8%増加。増加分のうち89.8%以上は、過去の累積債務の金利コストに起因。この分析は、どの政権が債務を増やしたかと非難するためではない。負債の額だけでなく、そのコストを懸念する必要がある。
 2007〜08年、スリランカは低所得国から中所得国へ移行し、譲許的融資を受けられなくなった。2007年に最初の国際ソブリン債(ISB)が発行したが、高い利子が必要だった。借入金が高くなり通貨安も進む。利率6%、通貨安が年4〜5%の場合、、11〜12%以上のリターンが必要。
昨年、政府歳入の71%が借入金の利払いにあてられた。世界でも、歳入比で最も高い金利コスト。2年前のレバノンも同じ比率でデフォルトに陥った。
 もっと専門的な債務管理が必要だと示している。借金の金利負担が新たな借金を生んでおり、状況がコントロールできなくなる前に一歩を踏み出すべき時。

【不正確な情報】
・(中央銀行は、2020年の財政赤字を11%に見せる(実際は14%)ため、同年の支出を前年に移して計上したと言われているとの問われ、)
 合法性は、国の会計基準に従っているかにより、監査役はこれに違反していると明確に述べている。
 情報が乏しく根本的な現実を理解していないと、誤った意思決定をする。毛沢東時代の中国は、地方政府が農業生産をよく見せるために少し膨らんだ数字を報告し、大飢饉が発生して何千万人もが命を落とした。
・2020年会計の誤報は財務大臣によるもので、中央銀行も同じ数字を年次報告書で出し。中央銀行は前年の年次報告書では正しい数字だったが、1年後に修正。「財務大臣が出したもの」と脚注をつけて責任を否定している。つまり中央銀行は間違った数字と認識していたのだと思う。
・大事なことは、政策立案者や制度に正しい理解を求め、真実を伝えること。虚偽報告は予算では多く起こっている。

【デフォルト】
・(カブラール中央銀行総裁はデフォルトは起こらないと主張しているが、)
 その可能性は低い。スリランカは楽観的過ぎた。20年と21年の債務支払資金はあるが、22年は困難。21年11月末時点で、使用できる外貨は輸入の1か月分となり、最悪のシナリオに。
・スリランカは瀬戸際で耐える方法は知っているが、瀬戸際に行かずに済む方法を知らない国際通貨基金(IMF)プログラムに16回参加した事実が物語る。中央銀行総裁自身、2009年にIMFプログラムを成功させて格上げを経験しているため、過去と異なる今回の事態は驚きだった。

・(中央銀行による格付け機関への批判について、)
 メッセージが気に入らないからといって陰謀説を捏造しないことが重要。グローバルな格付け機関がスリランカのような小国を不安定化させるために協調することはありえない。
格下げは外貨準備高減少のファンダメンタルズで正当化される。1米ドル=203ルピーの固定が、外貨収入、特に出稼ぎ労働者からの外国送金を奪っている。
・米ドル不足解消には、なぜ不足しているかを理解しなければならない。非公式市場の為替価格は需給に基づく。
 国際債務支払いのために供給が制限、一方で借換えができなくなり、外貨が減少し続けていることが理由の一つ。政府は輸出企業が稼ぐ米ドルを強制的に換金させ、債務支払いにこれを使い、膨大な不足が発生。
 また物価上昇の予想から、事前に米ドルを買おうとする可能性がある。これも通貨安を悪化させ続ける。

【外国人投資家】
・(あなたのような高名な経済学者が国の経済を暗く評価すると、外国人投資家を遠ざける「自己実現的予言」にならないかと問われ、)
 真実を語り正確な数字を出すことで、人々が必要以上に悲観的になることはない。信頼と信用を失い、経済の正確な姿を描けなくなったとき、人々は非常に高いリスクプレミアムをつけて、投資を控えたり高リターンを求める。メディアを含む全員が可能な限り正確な情報を提供する必要がある。
・(政府は、国有地への外国人投資家の投資を募っているが、経済危機のスリランカの土地は外国人投資家に魅力的かと問われ、)
 国内資産の売却にはより批判的な見方をしている。資産を売却するのであればリターンを最適化しなければならない。リターン最適化には、資産の適切な評価を行って競争入札を経て、短期長期で価値実現に最適な方法で資産を構成しなければならない。このプロセスがあるとは見えない。
 国が危機に瀕しているとき、外国人投資家は非常に高いリスクプレミアムをかける。競争入札が行われない場合、価値を失うことは確実。

【債務再編とIMF
・政府は債務再編、特にISBの再編を否定しているが、鵜呑みにしてはならない。2009年当時、政府と中央銀行はIMFプログラムに参加しないと公言した1か月後に参加を決定。
・最善は、国の痛みをできるだけ(債権者を含む)広い層で共有すること。
 現在の米ドル不足による痛みは、債権者に全額を返済しているため。一方でインフレを招いて国の将来のお金や利益を奪っている。つまり、今日の経済だけでなく、将来の経済にも痛みを与えている。
 債務国は常に債権者とリスクを共有しており、スリランカにすべての痛みを負わせることなく、痛みを分かち合うことが解決への道。今のままでは経済がさらに悪化し、問題が雪だるま式に大きくなる。
・スリランカの格付けはデフォルト寸前でブラックリストに入り、すでに信用が失われている。債務再編は格付け回復の最善の方法で、エクアドルなど多くの例がある。

Kida
Kida

長過ぎて、昨日は心が折れました。
今日も心が折れかけましたがなんとか。

この方のツイート、発言、論考は以前から出ると必ず一読しています。
最初はインタビューをYouTubeで見たような記憶が。
とてもバランスが取れた意見を発し続けておられます。

スリランカのポリティカルニュース

日本政府はテロ対策や薬物対策を目的とした車両などの機材をスリランカ警察に供与。
大統領は水越大使からの引渡しに対して、
「テロ・麻薬対策への7億ルピー(約3.5億円)相当の日本の支援に感謝」とツイート。

日本政府は、スリランカ北部・東部での地雷除去活動のため、
イギリスのNGO Mines Advisory Group (MAG) に647,611米ドルの無償資金を供与。
水越大使とMAG代表が契約書に調印。
【参考】2020年12月25日のニュース

人生にはムダも必要、な情報(今日のムダ)

自信持って生きよう。

ストゥティ! (ありがとう!)

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