【Reuters 報道】スリランカ、10億米ドルの債務再編を要請 〜 2022年4月7日

・4月7日(木)、サブリー財務大臣は、ここ数十年で最悪の経済危機のなか、緊急に多国籍金融機関に資金を求めて7月に満期支払を迎える債務の再編を目指さなければならないと発言した。

・燃料や電力、食料、医薬品の不足に対する数週間の街頭抗議デモ行動を鎮めるため、ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領が内閣解散後に全政党の統一政府を求める提案に対し、野党と一部連立与党参加政党はこれを拒否した。
・アナリストは、外貨準備高が急速に減少、巨額の債務支払いに追われて通貨ルピーが暴落するなか、大統領と兄マヒンダ氏が首相を務める政府は選択肢がなくなってきていると指摘する。

中央銀行のデータによると、3月末の外貨準備高は前月比16%減の19.3億米ドル。
 サブリー財務大臣は、「7月に満期を迎える10億米ドルの国際ソブリン債の支払いをどうするか検討しなければならない。国際通貨基金(IMF) に行くしかない」と述べた。
・同大臣は4日(月)に任命され、5日(火)に辞表を提出したが、大統領が同氏の辞任を受け入れたかどうかはすぐには明らかになっていない。辞表の提出はIMFとの緊急融資のための会談の数日前だった。
スリランカはIMFに出す提案の策定を急ごうとしており、大統領は7日(木)、IMF との仕事の経験があるシリワルデナ中央銀行副総裁を財務長官に任命した。

・7月25日に満期を迎える国際ソブリン債10億米ドルは54%の価格で取引されており、コロナ危機の暴落が世界の金融市場を襲った2020年春以来の最低水準にある。
 他の米ドル建ソブリン債はさらに厳しい水準で、ほとんどが40%前後の価格で取引されている。

・サブリー財務大臣は、
「金融危機の解決には政治的安定が必要。世界銀行と協議し、アジア開発銀行(ADB)とつなぎ融資の計画を立てなければならない。政治的安定がなければ誰がこの協議を行うのか」と述べた。
・野党議員は大統領の退陣を求め続ける。今週、少なくとも41人の国会議員が連立与党から離脱した。
・ペイリス外務大臣は外交団へのブリーフィングで、政府は国会で多数を占めており、「煽りを受けても」次の大統領、首相、国会議長が誰になるか、コンセンサスはないと述べた。
・アナリストは政府の失政を非難しているが、観光業に依存する経済はコロナウィルスの大流行によって大きな打撃を受ける。

IMFの援助は厳しい政治的選択を伴うだろう。つまり、数年後に経済をより強固にすることを期待して、短期的には痛みを増す政策改革を行う可能性がある。
 J.P.モルガンのアナリストは、スリランカの今年の総債務返済額を70億米ドル、経常収支赤字は30億米ドル程度になると推定している。

・財務省でサブリー氏の後任探しが続くなか、中央銀行総裁には、4日(月)に辞任したカブラール氏の後任としてウィーラシンハ前中央銀行副総裁が就任した。同氏はIMFでの勤務経験がある。
・7日(木)、裁判所はカブラール氏の出国を禁じた。有名な反汚職活動家テナクーン氏が、カブラール氏が在任中に公金を不正に使用したと告発、裁判所に請願していた。
 ロイターはカブラール氏とその弁護士に連絡を取ることができていない。

ウィーラシンハ新総裁は、当初4日(月)に予定されていた金融政策会議を8日(金)に開催する予定。
あるアナリストは、3月に18.7%に達したインフレの抑制に、中央銀行は金利を3月上旬の1%の引上げに続き、3〜4%引き上げる見込みだという。
 また、新総裁が、IMFの改革計画に盛り込まれる可能性がある政策、債務再編可能性への見解、通貨管理を概説する可能性がある。

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